Sのつれづれ日記

 ここでは日々の出来事や思ったことなどを中心に書いていきます

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新世紀エヴァンゲリオン

 ついに偏見を持って嫌悪していたこのアニメを見てしまった。きっかけはハリウッドで実写化される、との情報で「なんであんなものが?」と思ってみたら面白かった

 以前、漫画や「スーパーロボット大戦」で植えつけられた主人公碇(いかり)シンジの内向性や病的にさえ見えた性向は完全に好ましいものに変わった。世話を兄弟に預けた父親への反発と、それでもぬぐえない深く付き合いたいと言うアンビバレンツ、14歳の男のらしい、異性の肉体への憧れ(寝ぼけて自分の布団に入ってきたアスカの顔にみとれてキスしようとした。後に実際にする)、内向的でも友達もちゃんといるし、彼を預かってくれたNERV(ネルフ)1尉(作品中昇進して3佐)葛城(カツラギ)ミサトや後に同居するアスカとのコメディータッチの部分もあり、以外だった。シンジはチェロを5歳からやっていて、作中でバッハの「無伴奏チェロ組曲」を弾くのだが、それを聴いたアスカは珍しくほめる。いつもは「バカシンジ」呼ばわりで、エヴァンゲリオンパイロットとしてシンジに負け精神崩壊寸前まで追い込まれるアスカがである。もっとも、アスカは憧れる大人の男加持(カジ)が子供として真剣に相手はしてくれず、かつての恋人である同居人のミサトとよりを戻したのを知って、シンジにキスを迫り、キスしてしまうのである。そのあと口をすすいでいたが・・・
 この加持という男とミサトとの絡みも凄い。突然エレベーターでディープキス。さらには自分を責め続けるミサトの口をふさぐためキス。よりを完全に戻してからは画的な描写こそないが明らかに性的交渉の描写がある。「ちょ・・・こんなときに変なもの入れないでよ」これは死を覚悟した加持がミサトに託したネルフやエヴァ、人類補完計画などについて知りえた情報を隠したカプセルではあったのだが・・・
 また、アスカより、ほとんど記憶にない母(名前は碇ユイでこれも同じ年に放送していたガンダムWのヒイロ・ユイとおなじか。生没年は「1977~2004」となっていた。エヴァの舞台はイ一般には大質量隕石の衝突とされている、実は使途との接触でおこったセカンドインパクト-人類の半数が死滅-後の2015年である。東京は第2、第3東京市に遷都しミサト、加持、リツ子は第2東京大学の同級生である)を感じさせ、父の碇ゲンドウが珍しく執着する綾波レイのほうに惹かれており、彼女が死んだとき、ミサトはシンジのベットにきて「私にできるのはこれくらいしかないけど・・・」というのである。シンジが拒絶すると部屋を出ていって「女が怖いのかしら・・・寂しいはずなのに。いや、他人との接触を怖がっているんだわ・・・」って明らかにシンジを性的接触で慰めようとしたと言うことではないか。もっともペットのペンギンに声をかけて「誰でもいいのか。(加持を失って)寂しいのは私ね」と自嘲しているが。ミサトはシンジのよき保護者となり生きて帰ってきたときは泣きながら抱きついた。似た面もあり、弟のようで、息子のようでもあったのだろう。加持がいるときは14歳の男の子でもあり異性としては見てなかったが、加持が死んでどうも後2話しかないが、キスするみたいだし、「可愛らしく愛らしい年下の子」として見始めたのかもしれない。
 このアニメはまた、企画書の段階でターゲットを「小・中学生及び家族」となっていたのが信じられないほど、鮮血がふきあれる流血描写と、性的な暗示・直接描写、胎内回帰願望、フロイトらの精神医学用語、襲い来て人類を破滅へと追いやると言う「使途」や「アダム」、それをネルフ地下で十字架にかけキリストを刺したといわれるロンギヌスの槍(キリストを刺したといわれる公明な槍。当時とすれば一思想犯の処刑に使った道具など残っているはずもないが)、「人類補完計画」、「アダムから生まれし人の作ったエヴァ」などキリスト教系用語が乱立し、この難解さの面でも子供・家族向けとは到底いえまい。

 第24話は悲しい。5人目のエヴァンゲリオンパイロットとしてやってきた灰色の髪に赤い目の美少年渚カヲルは、たちどころにシンジに心をつかむ。。初登場時に口ずさんでいるのはベートーヴェンの第9交響曲の第4楽章の一節である。シンジが携帯デジタルテープ:^^プレーヤーで聴いてるのもベートーヴェンの第9である。シンジがシャワーを浴びて帰るというので、一緒に入って「君は一時的接触を異常に避けるね・・・怖いのかい?」「君の心は特に繊細だ。好意に値するよ」「好意?」「すきだって事さ」
 その後一緒の部屋で寝る。「何かぼくに話したいことがあるんじゃない?」というカヲルになぜか色々話してしまうシンジ。そんなシンジの顔を見て「僕は君に会うために生まれてきたのかもしれない」と夢見る瞳で言うカヲル。
 カヲルはエヴァ5号機に乗るが彼が使徒だと判明。ここから7分あまりベートーヴェンの第9交響曲の第4楽章が7分ほど流れる。しかしカヲルは人間でなく、彼を殺さねば人類が滅びると言う。エヴァンゲリオンの巨大な手で、人間そのもののカヲルの体をつかんだシンジは-ここで画面は第9を流しながら1分間にわたって停止し、TVを見ていたひとはTVがおかしくなったと思った人もいるかもしれない。驚いた演出だ-彼を握りつぶしてしまう。
 そのあと、ミサトを後ろにうずくまり前面に夕暮れの湖(戦乱でできた人造湖)を見てシンジは言う
 「カヲル君がすきだって言ってくれたんだ、僕のこと」「初めて、初めて、人からすきだっていわれたんだ」「僕に似てたんだ、綾波にも」「好きだったんだ、生き残るんだったら彼の方だったんだ、僕なんかよりずっといい人だったのに!」
 この24話では、ベートーヴェンの第9交響曲が使われてるが、そのシラーの歌詞の一節「汝の天国の階段に足を踏み入れよう」というのが残り2話に続く、天国の門をあけるというエピソードの暗示らしい。しかし、個人的に他の一節もこのエピソード、いやシンジの内面のテーマを示していると思う。

 「一人の人間を真の友とする困難を克服したものや優しき妻を得た者は喜びの声を上げるがいい。もちろんこの地上でただ一人の魂でも自分のものだと言える者もだ!しかし、それができなかったものは涙を流してこの集いから去るがいい」

 シンジは、・・・母を幼少期に亡くし父は兄弟に彼を預け放任し、人付き合いに臆病になった彼は・・・カヲルによって始めて無条件に、しかも「生まれたの家族」ではない、他者によって「好きだ」と言ってもらえたのである。まさに「この地上でただ一人の魂でも自分のものといえる」存在を手に入れたと、第9を聴いていたとはいえこの詩が浮かんだかは定かではないが、この言葉が持つものに酷似した感情を抱いたのではないか。しかしすぐさま打ち砕かれる。これではもともと脆い彼の神経は・・しかもこの物語は大人が子供に「君にしか操れない」と言う理由で責任と負担を押し付ける物語である。

 しかし、性的・暴力・キリスト教的用語の乱発・他者とのかかわりの中でしか生きていくことのできない人間の問題など、とても子供向けとしては難解すぎる。

 好きなキャラはシンジとミサトだ。特に以前、単に暗いだけと思ってた(単に~だけ、というくくり方ができる人間などいないのだが・・・全ての人間が多様な側面を持っているのだ)。シンジの繊細で脆く崩れやすく、他人と視線を合わせない性格は、睫が長く時に女性のようにすら移る容姿ともあいまって、私は彼を、カヲルと同じように「好きだ」と言える。

 しかし、これまで「アニメが好きなのではなくたまたま面白い物語にアニメが多かっただけ」と思ってたがエヴァンゲリオンを見る前にあった恐怖はこれを見るとアニメ好きになってしまうのではないかと思ったからだ。クラシック音楽と、銀河英雄伝説(高貴な原作小説版。これさえあればベートーヴェン、ドヴォルザーク、チャイコフスキー、マーラーの全交響曲、ワーグナー、ヴェルディの全オペラ・楽劇すらいらない。人類史上最高峰の虚構だと思う。これは今でも崩れない)、「砂の器」が救いだなあ。
 
 エヴァの音楽は以前から聴いていて今20歳以下の人では「残酷な天使のテーゼ」を知らない人の方が少数派では。またエンディング・テーマは「FLY ME TO THE MOON」だがはじめて聴いたときいい曲だなあと感心したが、友達から「それはジャズのスタンダード・ナンバーだよ」と言われ驚く。その友達は他の友人からエヴァンゲリオンを進められ全部見せられたが「わけわからんかった」と言っていたのもエヴァンゲリオンを見るのに偏見を持っていた理由といえよう。

 劇場版ではシンジが一人で性欲を処理する場面があるらしいし(とっても繊細なシンジに似合ってる女の声優さんだよ、彼の声は!)、アスカとミサトと温泉に入って女湯から聞こえてくる会話で下腹部に血液を充満させたりもしているので、ない公的なのは事実だが、可愛い顔をした普通の14歳だと思う。

 まあ、一人でするなんて14歳の男の子を本当にリアルに描くなら避けて通れないテーマだし、加持とミサトの性愛も成熟した大人の関係なら当然でちゃんと描いているのはこのアニメの特徴でそれも大好きなのだが。
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  1. 2006/07/10(月) 04:53:38|
  2. アニメ
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